乗車日 2022年1月13日
みなさん、こんにちは!keitrip/須田 恵斗です。
博多から久留米を経由し、久大本線周りで由布院・大分・別府を結ぶ、特急ゆふいんの森号、特急ゆふ号。
今回は、ゆふいんの森の一台目としてデビューした、キハ71系ゆふいんの森Ⅰ世のご紹介です。
1989年(平成元年)3月にデビューし、登場してから33年経つ今も、JR九州を代表するリゾートエクスプレスです。
「或る列車」や「いさぶろう・しんぺい」などのD&S列車の先駆けとなった、ゆふいんの森Ⅰ世の、令和になっても衰えない魅力や、非常にマニアックな注目点などを、日本全国の鉄道を乗り回している私、須田 恵斗が紹介します。よろしくお願いいたします。
ゆふいんの森Ⅰ世の運転時刻
ゆふいんの森3号の運転時刻
停車駅 | 着発時刻 |
博多 | 10:24発 |
鳥栖 | 10:48着 10:49発 |
久留米 | 10:57着 10:58発 |
日田 | 11:39着 11:39発 |
天ヶ瀬 | 11:52着 11:52発 |
豊後森 | 12:06着 12:07発 |
由布院 | 12:33着 12:38発 |
大分 | 13:23着 13:26発 |
別府 | 13:37着 |
ゆふいんの森4号の運転時刻
停車駅 | 着発時刻 |
別府 | 14:41発 |
大分 | 14:53着 14:57発 |
由布院 | 15:45着 15:50発 |
豊後森 | 16:18着 16:20発 |
天ヶ瀬 | 16:34着 16:34発 |
日田 | 16:46着 16:48発 |
久留米 | 17:30着 17:31発 |
鳥栖 | 17:37着 17:38発 |
博多 | 18:05着 |
久留米から久大本線を走る特急ゆふ号・ゆふいんの森号は、6本の運転で、
「ゆふいんの森Ⅰ世」は博多駅を3本目に出る、ゆふいんの森3号と
由布院駅を4本目に出る、ゆふいんの森4号で運転されています。
車両検査で運転しない日には、同じ時刻で特急ゆふ73号と74号(一部指定席)が運転されます。
特急ゆふいんの森号・特急ゆふ号の運賃・料金
乗車区間 | 運賃・特急料金(指定席) |
博多~由布院 | 特急料金(指定席) 1,780円 運賃 2,860円 合計 4,640円 |
博多~別府 | 特急料金(指定席) 1,940円 運賃 4,070円 合計 6,010円 |
特急ゆふ号の自由席は、特急料金 -530円の価格。特急ゆふいんの森号は、全車指定席。
ここがポイント 特急ゆふいんの森とゆふ号の指定席は料金が同じ
久大本線を走る特急は、今回紹介するゆふいんの森の他、赤い塗装をした車両の特急ゆふ号が走っていますが、
このゆふ号の指定席と、特急ゆふいんの森号は同じ料金となっています。
なお、特急ゆふいんの森号は全車指定席(自由席の連結は無し)で、特別車両・グリーン車はなく、どのお座席でも乗車料金は同じです。
特急ゆふいんの森号では、観光案内や車内販売などの、様々なサービスがありますが、特別な料金がなく乗れるのがうれしいところ…
ゆふいんの森Ⅰ世の外観・車内
外観
特急ゆふいんの森Ⅰ世の外観です。
森をイメージした緑の車体、景色を一望できるハイデッカー構造、ヨーロッパ風の丸みを帯びた前面部と、鉄道車両としては個性あふれるデザインとなっています。
33年前のデビューですが、令和でも通ずる列車であることを、外観からも感じ取れます。
前面部には大きく筆記体で「Yufuin No Mori」と書かれたロゴがあります。
内装
デッキ
車内に入ると、気に囲まれたログハウス風の車内がお出迎えしてくれます。
1号車と4号車の客室への階段の横には、荷物棚の代わりとなる、荷物スペースがありました。
キャリーケース等の大型荷物は、こちらに入れると便利です。
客室
客室の紹介です。金メッキの荷物棚、木の床、緑の座席が並びヨーロピアン、レトロな印象です。
ハイデッカー車両の隠れた宿命と言えますが、荷物棚は通常の鉄道車両より手狭な印象で、少し大きめのリュックを上に乗せるのに、少し苦労しました。
天井と側面から、丸くて温かみのある照明が、車内を照らしてくれます。
ふかふかの座席でリクライニングは、深めに倒れます。
シートピッチは960mmで、他の特急列車と同じピッチになります。
2号車の3号車寄りには、テーブル付きのコンパートメント席が2つあります。ご家族や友人と、飲食を楽しみながらの旅にうってつけです。
このコンパートメント席は、3名以上からの発売となります。
3号車の客室には、大型荷物向けの荷物棚があります。
2号車 ー ビュッフェ
2号車には、コーヒーやアイスなどを販売するビュッフェがあります。
ビュッフェには、乗車記念スタンプと、除菌シートの配布もあります。
お濃茶アイスやかぼすアイス、ゆずみつスカッシュ、とり天、ゆふいんの森のオリジナルグッズなどが販売されております。
このゆふいんの森Ⅰ世は、階段がある車内構造のため、ワゴンサービスがありません、車内販売をご利用の方は、2号車のビュッフェでご購入ください。
ゆふいんの森Ⅲ世は、動線上に階段がないので、ワゴンサービスがあります。
3号車 ー サロン
2号車ビュッフェのお隣には、共用スペース「サロン」があります。
ビュッフェなどで購入した、お食事、お飲み物等をすぐに楽しむことができます。
1号車・4号車 ー お手洗い
先頭車両、1号車、4号車には男女共用トイレと、女性用トイレが設置…
洋式のトイレで、ボタン水洗なので、使いやすくなっています。
その他 フリーWi-Fiサービス
車内には、JR-KYUSYU FREE Wi-Fiが備わっており、メールアドレスを登録することで、簡単に利用することができます。
鉄道マニアの注目ポイント
ここで、鉄道マニアのマニアックなポイントを紹介します。
このゆふいんの森Ⅰ世、キハ71系気動車は、元々は前身である急行由布などに使用されていた、キハ65形・キハ58形の台車やエンジンなどを流用して、デビューした車両になります。
先頭車両・キハ71は、キハ65からの改造で、DT39B・TR218Bを履いており、
中間車両・キハ70は、キハ58からの改造で、DT22Cを履いています。
改造元の車両は、半世紀以上前の、1963年~1964年・1970年に製造されました。
2003年のリニューアルで、エンジンと変速機は、新しいものに交換されました。
2016年の改造で、可変減衰上下動セミアクティブダンパが取り付けられ、乗り心地の改善も行われています。
運転台も、流用元の名残を感じられます。
ブレーキは、従来の国鉄型気動車同様の自動空気ブレーキを採用。
変速機は新しいものに交換されたものの、昔ながらの変直操作は残っています。
現在の特急ゆふ・特急ゆふいんの森の前身である、急行由布の名残を、車両の面から感じ取ることができます。
特急ゆふいんの森4号 別府→博多 乗車記
温泉県の大分を代表する別府温泉郷の最寄り駅、別府駅です。湧出量日本一の温泉として知られています。
特急ゆふいんの森4号の発着ホームは、特急ソニック大分行きと同じホーム、3・4番乗り場からの発着となります。
写真に表示されている、特急ソニック36号は、博多駅16:28着で、ゆふいんの森より1時間37分早くは片に到着します。
14時30分頃 発車の約10分前に行き先表示機が、博多を表示しドアが開きます。
外で色々と撮影していると、アテンダントの方がお声がけしてくださり、記念撮影をしてくれました。
ゆふいんの森には車内販売を含め、3名のアテンダントが乗務しており、車掌と共に沿線の観光案内などをお粉ります。
14時41分 別府駅を定刻通り発車。今回は4号車の先頭部分の座席、13AB席に座りました。
4号車の車内は、5名程度乗っていました。
別府駅を発車後、「リゾートエクスプレス、ゆふいんの森号にご乗車いただきまして」とアナウンスが行われます。
リゾートエクスプレスと案内が行われているところに、こだわりを感じます。
そして、別府湾の景色を見ながら進みます。
後ろを見れば、湯気が上がる別府の街を見ることができます。
そして、別府湾の案内が行われます。この別府湾は、国東半島と佐賀関半島の間にある湾であると案内が行われました。地理の勉強になって面白いです…
西大分駅を通過した後、新しくできた高架橋を進み、大分駅に到着..
駅手前で、ゆっくりと久大本線乗り場8番線にくねくねと転線して行きます。
14時57分 大分駅を発車し、日豊本線と豊肥本線から大きく、右へ分かれて由布院へ分け入っていきます。
その後、大分の郊外、住宅街や田園風景を進んでいきます。
その後、ビュッフェでコーヒーとかぼすアイスを購入し、サロンで嗜みました。
かぼすの香りが口の中で広がり、とても美味しいです。ぜひ、車内販売で買ってみてください…
ちょうど向之原駅で、特急ゆふ3号とすれ違います。
その後、アテンダントの方が車内を巡回し、記念撮影を行っていました。思い出になるいいおもてなしです。
そして、由布院の町の地図と、乗務員お手製の穴埋め沿線マップが配られました。
大分川の渓谷に沿って、徐々に勾配を上っていきます。
湯平に近づくと、雪が降ってきて積もっていました。
そして、15:45~15:50の5分の間、由布院駅に到着します。
ここは、金鱗湖の美しい朝霧と、いで湯の里、芸術の町として知られています。
「西の湯布院、東の軽井沢」と言われ、女性観光客やインバウンドの方に大変人気の場所となっています。
由布院駅の1番乗り場には、160円で入れる足湯があります。由布院駅から乗車の方は、足湯でくつろいでから列車に乗車するのもいかがでしょうか?
由布院駅では、乗務員が交代を行います。
由布院では数名の方が降りられました。別府と由布院を巡る旅にも活用がされているようです。
由布院駅を発車後に、25‰の急勾配を上って、水分(みずわけ)トンネルを含む、水分峠を越えて行きます。
水分峠で分水嶺を越えて、川は有明海の方に流れて行きます。
そして、豊後森駅に近づくと、進行方向左側には、豊後森機関区の扇形車庫の廃墟が見えてきます。
16:18-16:20 豊後森駅に到着。ゆふいんの森Ⅲ世で運転される、ゆふいんの森5号由布院行きとすれ違います。
豊後森駅発車後、進行方向左側には、伐株山(きりかぶやま)を見ることができます。
そして、慈恩の滝の案内が行われると、玖珠川(くすがわ)を渡ります。
進行方向左側に上段20m、下段10mの落差30mの落差がある、慈恩の滝が見えてきます。
その直後、杉河内駅を通過。慈恩の滝と杉河内駅は、歩いて5分~7分だそうです。
道中、豪雨災害の復旧工事の様子を見ることができます。
16時34分 天ヶ瀬に到着。開湯1300年の歴史を持つ、天ヶ瀬温泉の最寄り駅です。
その後も玖珠川の美しい渓谷を見ながら進んでいき…
前方に大きい駅が見えてくると…
日田駅に到着。2022年1月現在、アニメのファイナルシーズンがNHKにて放送中の大人気漫画「進撃の巨人」の作者、諌山創先生の故郷として禁煙注目を集めています。
駅構内には、主人公 エレン・イェーガーが「温泉だけじゃダメなんだ!他にももっとあるだろ…」と叫んでいるポスターがあります。
日田は、別名「九州の小京都」呼ばれ、飛騨高山などと並ぶ天領の町として知られており、レトロでかわいいショップが並ぶ「豆田町」がある、温泉以外にも魅力がある町となっています。
日田駅を発車した後、豪雨災害の影響で運転を見合わせている日田彦山線が分かれる駅、夜明を通過。
大分県最後の駅となり、ここから福岡県に入ります。
その後、三隈側と並走、川を渡ると福岡県に入ります。
その後、うきは駅を通過。
そして、アテンダントの方が飴の配布を行っていたので、いただきました。
久留米大学前、南久留米、久留米高校前と順調に進んで、久留米市内へ入っていきます。
熊本からの鹿児島本線と並走、九州新幹線の高架下を進みます。
17:30着 久留米に到着。ここから鹿児島本線に入り、博多を目指していきます。
久留米で車内は、私たち2人だけになりました。
筑紫次郎の別名を持つ一級河川、筑後川を渡ります。
17:37着 長崎本線が合流してくる鳥栖駅に到着。鳥栖駅で、ビュッフェの営業は終了となります。
鹿児島本線を60kmくらいの速度で走り、二日市などを通過…
その後、九州新幹線と再び並走して、警戒現示25kmを受けてゆっくりと博多駅に入線します。
18時05分 別府から3時間24分、由布院から2時間15分で、ゆふいんの森4号のすてきな列車旅は終わりです。
まとめ 30年経っても衰えない魅力
憧れのリゾートエクスプレス、特急ゆふいんの森の初代車両、ゆふいんの森Ⅰ世。
徹底されたコンセプト、デザイン、おもてなしで、非常に充実、楽しくあっという間の列車旅でした。
九州の代名詞とも言える「D&S列車」の先駆け、その実力は令和になっても、衰えることは知らないってことを、実際に乗って実感しました。
とはいえ、足回りは半世紀も経ちもうすぐ還暦、車体も30年以上は経過しており、5年後、10年後、このキハ71系がどうなるのか気になるところです。
とても素晴らしい車両なので、それと交代するのにふさわしい魅力的な新型車両に期待したいところ…
九州の列車旅をされる方は、ぜひ特急ゆふいんの森号に乗ってみてください。今回も最後までご覧いただきありがとうございました。