長野県諏訪盆地に位置する巨大な湖「諏訪湖」。
夏の諏訪湖では、花火大会「諏訪湖祭湖上花火大会」が開催され、水面で半円状に花火が開く水上スターマインや、フィナーレでは2kmに渡って花火の滝が流れるナイアガラが見られるなどの、湖上である事を活かした壮大なスケールのプログラムが組まれていることで有名です。
また、東京からのアクセスもかなり良好であるため、非常の多くの花火客で賑わい、多くの臨時列車が、諏訪湖周辺の中央東線と飯田線で走り、それも花火大会の風物詩となっています。
今回は「諏訪湖祭湖上花火大会」の臨時列車の中で、ひときわ存在感をは放つ夜行列車「特急諏訪湖花火大会号」に乗車してきましたので、その様子をお届けします。
※「諏訪湖祭湖上花火大会」は、コロナウイルスの流行でしばらく開催できませんでしたが、今回4年ぶりに通常規模での開催となりました。
E233系も使われる諏訪湖祭湖上花火大会の臨時列車
諏訪湖花火大会では、多くの花火客で賑わいます。
そのため、普段の輸送力では到底捌ききれず、普段から使われている211系を使った臨時増発列車や、波動用のE257系も活用した臨時特急あずさ号も多数運転されています。
それでも車両が足りない事や、車両自体のキャパシティが足りないため、写真でご覧いただいているように、
普段は青梅線・五日市線で使われているE233系0番台6両(青600番台)や、南武線で使われているE233系8000番台・8500番台6両も、この諏訪湖祭湖上花火大会の輸送に抜擢されています。
今夏は青660編成と、元青梅線車であることで有名なナハN36編成が使われていました。
また185系団体臨時列車(復路は夜行運転)を使用した、花火大会を見るための団体ツアーが、JR東日本びゅうツーリズム&セールスより催行されていました。
特急諏訪湖花火大会号とは
今回運転された臨時特急「諏訪湖花火大会号」は、花火大会閉会後、上諏訪23:59発→翌朝、新宿5:00着の時刻で運転される全車指定制(座席未指定券無し)の臨時夜行特急です。【途中停車駅:八王子、立川】
使用車両はE353系12両編成。座席定員は、674名にもなります。
特急料金は、通常のあずさ・かいじ料金ではなく、最繁忙期のA特急料金が適用されています。
【上諏訪~新宿間:特急料金】
- あずさ・かいじ 2,240円(最繁忙期・繁忙期・閑散期料金の設定なし)
- A特急料金 2,730円
今回の「諏訪湖花火大会号」は、最繫忙期+400円が適用され、3,130円となりました。
前回運行の2019年以前は、特急列車ではなく、快速ムーンライト信州として運転。
E257系0番台9両編成が使用、中央特急にE353系投入前は、E351系12両も使われていました。
特急諏訪湖花火大会号乗車記
多くの乗客・花火客で賑わう上諏訪駅
23時10分頃 遅い時間ですが、まだ多くの列車が走っている事や、団体夜行と今回乗る夜行特急が走ることもあり、多くの乗客・花火客で賑わっています。
早速ですが、電光掲示板には、今回乗車する臨時特急 諏訪湖花火大会号が表示されていました。
上り方面の電光掲示板は、全て臨時列車です。
この遅い時間に、普通列車で甲府まで戻れるのはありがたいですね…
使用車両はE233系0番台でした。次回来た際には、これに乗ってみたいところです。
この付近の中央東線(普門寺信~岡谷間)が単線区間である事による、周辺列車の遅延により、
発車時刻を少し過ぎた0時00分頃に、上諏訪駅1番線に入線しました。
車内へ入る
今回の臨時夜行特急 行き先表示器は特急単体表示でした。
駅停車前後には、車内の案内モニターには「諏訪湖花火大会号」「Suwako FireworksFestival」と、表示されていました。
空席状況を知らせる座席上のランプは、非点灯状態でした。
E353系は全席コンセントが設置され、夜間のスマホ充電を満足に行えました。
車内照明は白色のLED照明で、正直なところ、かなり明るく眠るのには不向きです。
上諏訪発車 甲府まで全力疾走
全ての乗客の乗車が完了したのを確認し、0時04分に上諏訪駅を発車。
今回席を指定した1号車の乗車率は、通路側の席が8~10席空く程度でした。
その後、通常のあずさ号同様に勢いよく加速し、100km~130kmの速度まで出します。
かなりの高速を出しますが、全車両にフルアクティブサスペンションが搭載されている事もあり、大きな揺れはほとんど発生しませんでした。
そして、このままの勢いで、全特急が停車する茅野駅を、気が付いたら颯爽と通過していました。
車内は電動車ですが、少しだけ電動機・駆動装置の駆動音が聞こえるくらい静かで、カーブ通過時に「ガチャ」っと、車体傾斜装置が作動する音が響くくらいでした。
100km以上の勢いを保って、気が付いたら富士見駅を通過。富士見駅では約20分前に発車した、185系の夜行団臨を追い抜かします。
上諏訪発車後、すぐに車掌による検札が行われました。
通常のあずさ・かいじ号だと、指定した座席に座っていれば、原則検札が不要となっていますが、
この臨時特急諏訪湖花火大会号では、巡回時に業務用タブレットや、座席上ランプによる確認ではなく、全乗客に対し検札をして、特急券に入鋏印を押す形となっていました。
甲府駅で長時間停車
0時55分 甲府駅に停車。
甲府止まりの臨時のE233系0番台が停車していました。
2時05分 E233系0番台の回送が豊田へ向けて発車。
2時11分 富士見で追い抜かした185系の夜行団臨が入線。
このように、深夜帯の列車の動きを見ることができる貴重な経験でもありました。
3時15分 甲府駅を発車。通常のあずさ号と変わらない超高速で、暗闇に包まれた甲府盆地と峠道を駆け抜けていきます。
4時16分 山を駆け下り、高尾駅を通過。
4時28分発 高尾駅初発の東京行き490Tが停車していました。
4時間ぶりの客扱い 八王子着
4時21分 八王子駅に到着
横浜線や八高線、この特急列車が停車しない駅等を利用される方が多数降車されました。
4時30分 最期の途中停車駅:立川に到着。
ホームは、東京方面行き初発を待つ通勤客や出張客で、列が出来ています。
三鷹を通過して、複々線区間に入り、夜が明けてきました。
三鷹からは、先行に武蔵小金井初発の電車が走っているため、日中の特急より5分程度時間をかけて走ります。
終点:新宿に到着
5時00分 静けさに包まれた早朝の新宿駅に到着。
高尾行き快速が着発する11番線に入線。降車作業確認後、ドアが閉まり、5時16分の快速発車後に、松本方面へ発車していきました。
余談ですが、今回の夜行特急、suicaで上諏訪から新宿まで移動したのですが、システムの都合で改札に引っ掛かり、有人改札にてsuica残高を差し引く形で精算しました。
これはこれで面白い経験です。
おわりに
E353系の乗り心地がいい事や、コンセントが付いているなどのサービスレベルが高い事もあり、そこそこ快適でした。
とは言え、所要時間が5時間で、昼光特急に使われる座席なので、非常に疲れました。
令和の時代に堂々の12両編成の座席夜行に乗れたという貴重な経験ができ、花火大会も実質特等席から見れて、とてもとてもいい経験です。
今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
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