みなさん、こんにちは!小田急沿線、神奈川県大和市在住のkeitrip/須田 恵斗です。
2022年3月を持って、定期運行を終える花形ロマンスカー50000形 VSE。
2005年のVSEデビュー時に、入れ替わるように置き換えられた10000形 HiSEは、
現在も長野電鉄に譲渡されて、ゆけむり号としてバリバリ現役で運用されていることが、全国の小田急ファン、鉄道ファンから有名です。
今回は、そんなゆけむり号の全区間を往復乗車してきたのでその様子をお届けします。
ロマンスカーミュージアムのHiSEの展示を見て気になった方や、長野の鉄道旅の参考になれば幸いです。
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長野駅から乗車
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長野電鉄線の長野駅は、地下通路の善光寺口側にあります。
JR長野駅の善光寺口を降りた先に、地下通路へのエスカレーターがあるので、容易にたどり着くことができます。
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ということでホームに到着。湯田中行きのゆけむりが停まっています。早速乗り込んでみましょう。
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方向表示器です。小田急線時代は「はこね」や「えのしま」などの列車名のみが表示されていましたが、現在は種別と行き先が表示されています。
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車内の紹介
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ロマンスカーの代名詞と言える「展望席」。4席×3列の12席が用意されています。
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展望席の入り口には、キャリーケース等の大型荷物棚と…
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2階にある運転席へ上がる階段があります。出入りの際に階段が出てきます。
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一般席は、HiSEの由来になっている、ハイデッカーとなっています。
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中間車両にはデッキがあり、車内に入ると階段が2段あります。乗り降りの際は、つまづかない様に注意してください。
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こちらは中間車両の車内。
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中間車両の大型荷物棚の後ろの席は、回転できないように固定されています。
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特急車両ですが、リクライニングはしない構造になっています。
その代わりに、LSE車両が座席のリクライニングを前回にさせた時と同じ傾斜が付いています。
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テーブルは壁掛け式で、上にあげて取り出す仕組みとなっています。
特急ゆけむり 夜の前面展望
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19時40分 長野駅を発車しました。
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長野、市役所前、権堂、善光寺下までの4駅 約2kmの区間は、地方私鉄では数少ない地下区間となっています。
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この長野電鉄では、元地下鉄日比谷線や、半蔵門線と直通していた東急田園都市線の車両が走っており、駅の雰囲気も相まって、昔の地下鉄の気分を味わえます。
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市役所前、権堂と停車し…
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善光寺下を発車してすぐに、地上へ出ます。
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本郷駅に停車。複線なので、小田急で言う向ヶ丘遊園~町田間にいるような気分です。
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信濃吉田、朝陽と停車。
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朝陽からは単線となります。
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柳原~村山の間では、珍しい鉄道道路併用橋、村山橋で千曲川を渡っていきます。
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村山橋を渡り終える前後に見る夜景は素晴らしいです。
今渡っている村山橋は、2009年に架け替えられた新しい橋になります。
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村山、日野を通過すると、左へカーブ。場内警戒を受けてゆっくりと進みます。
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左カーブを終えると、大きく線路が広がり、長野から21分 須坂に到着。
長野電鉄の車両基地があり、多くの電車を見ることができます。
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須坂を発車すると、80km近い速度で走行し、北須坂を通過。
1998年の長野オリンピック開催に伴う輸送力強化のため、交換設備が新設された駅ですが、本数の減便で元の棒線駅に戻りました。
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そして、栗と北斎の町 小布施に到着です。
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その後、都住、桜沢、延徳を通過。
この延徳も、北須坂と同様、交換設備が新設後に撤去された駅になります。
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長野から36分 信州中野駅に到着。2002年までは木島線と呼ばれていた河東線が分岐していました。
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信州中野を出ると、40‰の急勾配を上っていきます。
小田原~箱根湯本間の箱根登山線区間にいるかのようです。
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信濃竹原で、各駅停車とすれ違い。
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その後、夜間瀬川を通過して行きます。
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こちらの夜間瀬川橋梁は、長野電鉄の有名な撮影地として知られています。
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20時29分 長野から49分 40‰の勾配を上り終えた直後、終点・湯田中に到着しました。
到着後、ホームに「美わしの志賀高原」が流れ、温泉地に着いた気分。
湯田中到着 折り返す
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志賀高原などへのバスが発着、バスターミナルを兼ねた大きめの駅舎となっています。
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湯田中渋温泉郷の拠点の場所、周辺旅館が書かれた看板があります。
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湯田中駅の終端部です。左が現在の駅舎とホーム、右には、国の登録有形文化財の旧駅舎があります。
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20時40分発 長野行きB特急で折り返します。
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今回は、2両目の中間車両に乗車。信州中野までは貸し切り状態でした。
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勾配を下り切り信州中野に到着。ハイデッカー車両なので、目線も少し高く特別な気分です。
特に昼間は、長野の盆地と美しい山々を見ることができます。
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その後、暗闇を進み地下区間に入ります。
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21時29分 湯田中から49分 終着・長野駅に到着。22時14分発 信州中野行きB特急となりました。
ゆけむりの乗り方
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特急ゆけむり号の運賃・料金について解説します。
長野駅からの片道運賃
- 須坂 550円
- 小布施 680円
- 信州中野 930円
- 湯田中 1,190円
となっています。
運賃に加えて、区間を問わず100円(小児50円)の特急料金を追加すれば乗車できます。
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長野電鉄で発売している、長野電鉄全線乗り降り自由の、長電フリー乗車券では特急料金は不要です。
このゆけむり号の内、A特急の先頭号車は指定席で、運賃、特急料金に加え、座席指定料金が必要です。
A特急ゆけむりの発車時刻
- 長野駅 11時33分、14時27分、16時46分
- 湯田中駅 9時54分、12時31分、15時34分
A特急ゆけむりの指定席は、長野電鉄公式ホームページの予約システムから、1ヶ月前から予約可能です。
支払いは、クレジットカードのみになります。
また、当日中に空席がある場合に限り、一部駅の窓口と車内にて発売を行います。
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どうして長生きしたの?VSE譲渡の可能性は?
現在、長野電鉄でゆけむりとして使われているHiSEは、ハイデッカー構造のためバリアフリーに対応できないことが理由で、小田急線で早期に引退しました。
それに対しVSEは、
- ホームドアに対応できないこと
- 車体傾斜装置などの特殊装備が多いこと
- 交換部品の手配が困難なこと
- 車体補修が難しいこと
など様々な要因でわずか17年で定期運行を離脱となりました。
つまり、小田急から見ても運用・整備が難しいのです。
ということは、長野電鉄のような中小私鉄では整備ができないことは容易に想像ができます。
その他にも、譲渡に当たって必要な編成短縮が、車体構造や編成構成の都合により困難なところも大きいでしょう。
逆にHiSEが長野電鉄でなぜ運用できているかというと、
- 編成短縮が容易
- 地方私鉄で扱いやすい抵抗制御
と、連接台車であること以外は、特殊な点が無く他の車両と同様に扱いやすい車両であることがわかります。
なので、VSEが他社に譲渡される可能性は長野電鉄を含め、限りなく低く。
長野電鉄の元HiSE車両は今後5年、10年長野の地で活躍をするものと思われます。
おわりに
小田急沿線民として、離れた地でも花型車両として活躍するロマンスカーがいることを、うれしく思います。
そして今、小田急で現役のロマンスカーも、乗って撮って記憶すべきだなと改めて感じています。
また、今後も活躍するEXE、MSE、GSEが10年後、20年後にどうなるのかも楽しみです。
今回も最後までご覧いただきありがとうございました。